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講師紹介

梶原 涼晴

アクターズクリニック/ステラ・アドラー・ジャパン代表

近年に至りハリウッド映画やブロードウェイミュージカルをはじめとした世界中のアートワークに多大な影響を与えてきた演技アプローチは、1931年にニューヨークに設立されたグループシアターを構成していたメンバーによっていくつかの方法論に分派しています。

大きくは、グループシアターの解散後にアクターズスタジオの責任者となったリー・ストラスバーグが提唱した「メソッド」、ネイバーフードプレイハウスを率いたサンフォード・マイズナーによる「マイズナー・テクニック」、そして、ステラ・アドラー・スタジオを設立したステラ・アドラーによる「ステラ・アドラー・テクニック」です。

「メソッド」は主に、俳優個人のプライベートな感情の記憶を役に投影するといった俳優個人が自分自身の内面と向き合うアプローチによって多くのハリウッド俳優を生み出し、「マイズナー・テクニック」はレペテション(繰り返し)という手法を用いて演技におけるパートナーとの関係性に重要性を見出し、「ステラ・アドラー・テクニック」は、ステラ・アドラーが、グループシアターの設立にも多大な影響を与えた近代演劇の父コンスタンチン・スタニスラフスキー氏の演技論「スタニスラフスキー・システム」の執筆に米国人俳優として初めて直接携わり、役作りにとって必要不可欠であり非常に重要なこととはプライベートな感情の記憶を役に投影することではなく、「脚本から与えられた状況設定」と「俳優個人が持つイマジネーション」によって脚本が求めるサイズに自身のアクション(すなわち演技)を引き上げることなのだという理論を提唱しています。

これはまさに、先述の三者がそれぞれ独自の演技アプローチを導き出すベースとなったスタニスラフスキー・システムに最も忠実であり、昨今の日本における製作現場で頻繁に起きている脚本の世界観と俳優の演技との乖離といった課題を解決する極めて効果的なアプローチだと確信するところです。勿論上記のどのアプローチにも取り入れるべき素晴らしい利点があり、その有効性や副作用は個人によって異なりますが、俳優がまず知っておくべきことは、世界には様々な演技アプローチが存在し、それらが二千年の演劇史の中で淘汰もしくは分派を繰り返し、現在に至っているということです。

アクターズクリニックは、マーロン・ブランド、ウォーレン・ベイティ、ロバート・デ・ニーロ、ウーピー・ゴールドバーグ、アントニオ・バンデラス、ベニチオ・デル・トロ、イーサン・ホーク、メラニー・グリフィス、マーク・ラファロらを輩出した米国演技学校の殿堂ステラ・アドラー・スタジオ総代理店として、歴史と伝統に裏付けられた演技アプローチを真摯に探究し、それを皆さんと一緒に追体験し、次代へと継承していく貴重な時間を共有することをお約束します。代々木スタジオでお会いできるのを楽しみにしております。

過去の主な演出作品

舞台:
「HOME」(作・演出/The Independent Theater NY)
音楽劇「彩虹橋」(作・演出/上海万博・神戸朝日ホール)
「HIKOBAE」(作・演出/Alvin Ailey Theatre NY・国連オーディトリアム・天王洲銀河劇場、他)
「RADIO311」(作・演出/東京芸術劇場シアターイースト、他)
「THE LAST SONG~命の行進曲~」(作・演出/渋谷伝承ホール・天王洲銀河劇場)
「THE LAST WORDS~命の行方~」(作・演出/中目黒WOODY THEATRE)
「希望荘にて」(作・演出/中野MOMO)
「ORPHANS」(演出/中野MOMO)
「THE LAST JOURNEY~命の使途~」(作・演出/中野HOPE)
「二十日鼠と人間」(演出/中目黒WOODY THEATRE)
「BACHIDAKO」(作・演出/浅草九劇)
「フォエヴァ―ヤング」(作・演出/浅草九劇)
「SORIN THE INNOCENT LORD」(作・演出/浅草九劇)
「ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE」(作・演出/浅草九劇)

映像:
筑後川流域ショートフィルム「NOISE OF FLOW~心は音に流されて~」(脚本・監督)
東日本大震災発災10年追悼ショートフィルム「HIKOBAE~10年目の奇跡~」(脚本・監督)
三浦按針没後400年・日蘭交流420周年記念ショートフィルム「ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE」(脚本・監督)、他。